Green Energy

皆さまもご存じの通り、私たちは化石燃料に頼りきった生活を送っています。

分かりやすいもので言うと、日ごろ乗っている自動車の燃料は石油から抽出されるガソリンや軽油(ディーゼル)が原動力となっています。

あまり日常的に意識しないものであれば、バニラの香りがする石鹸や支払いに利用するクレジットカードなどにも化石燃料が利用されています。

このように、生活必需品のほとんどがまだ化石燃料に頼ってしまっているのが現状です。


化石燃料が生活に与える影響が大きい上に、その化石燃料の供給量があと数年、数十年でピークを迎えるという事実に直面し、私たちはエネルギー革命に取り組んできました。

ユーティリティ企業はもちろんのこと、現在では生産活動でエネルギーを使わない企業はほとんどいませんから、多くの企業でエネルギーの効率化・再生エネルギーへの転換が行われています。


しかし、目を向けなければならない事実として、石油ほど低コストで大きなエネルギーを生むことができるエネルギー源は、現段階では存在していません。

再生可能エネルギーも年々、種類・供給量共に増えていますが、コスト面、キャパシティ面では到底、石油のレベルには届いていません。

地球上で限られた化石燃料の供給量がピークを超え、人口増加がこのまま進むと、供給と需要の間にギャップが生じます。その時までに化石燃料を代替できるエネルギー源がなければ、私たちは単純に利用できるエネルギーを失います。


そこで、私たちは化石燃料に頼りきったライフスタイルから、エネルギー利用量を減らしながら再生可能エネルギーを利用するライフスタイルへの転換が求められています。

このことは企業にとっても同じで、先進的な企業の中には、ある年度までに利用エネルギーの100%を再生可能エネルギーにすることを掲げるところもあります。


本記事では、化石燃料や再エネで注目されるエネルギーを、「Green Energy」というテーマで現状の取り組みや画期的な事例などについてまとめていきたいと思います。



化石燃料利用の問題点

化石燃料を利用する上で、さまざまな問題が生じています。

皆さまの頭に思い浮かぶのは、環境汚染や資源枯渇問題ではないでしょうか。

今回は、そのような化石燃料に関連する問題を深堀り、問題点や具体的な被害についてまとめていきたいと思います。


化石燃料を採掘する段階

まずは、化石燃料を採掘する段階で環境への影響があります。

石炭や油田は地層の奥深くにありますから、その地点に到達するための採掘の過程で、山、水、土地、景観を破壊し、生態系にも影響を与えます。その土地に生活する野生動物の住処を奪い、絶滅に追い込んでしまうケースもあります。


また、コミュニティへの被害も大きく、地元に与える環境的影響が大きくなる方法で採掘が行われたり、廃水や大気の排出、騒音などによって間接的に地域の住民へ健康被害を与えたり、実際に世界の採掘現場周辺の住民から企業への訴訟が行われているケースも少なくありません。

また、現地で企業が事業活動を行う場合、多くは現地の人材を登用しますから、現地の人からのレピュテーションは企業にとって非常に重要となります。

継続的なオペレーションを行うためにも、事前に操業のライセンスを得るための現地の人とのダイアローグやエンゲージメントを設定することも戦略の一つに据えるべきでしょう。


採掘作業の具体的な方法として、鉱床(鉱石や鉱物が集中的に集まっているところ)に到達するための二つの採掘方法があります。

一つ目が、坑内堀りです。

地面内を縦横に掘り進め、鉱床にまで続く道を作る方法で、作られた道を人や機材が通り、採掘作業が行われます。奥深くの鉱床にまで届くことができますが、道中の崩落事故や有害性のあるガスの漏出によって人体へ被害を及ぼす可能性もあります。

もう一つの方法が、露天掘りです。

地面から比較的近い場所に鉱床がある場合、地上から垂直方向に地面を掘る原始的な方法です。他の採掘方法と比較して安価ですが、長い年月をかけて蓄積されたその土地の養分が一度抜け出してしまうと再生はほぼ不可能に近く、相当な時間と努力が必要となります。


また、天然ガスやシェールガスの採取方法として利用されるフラッキング(水圧破砕)と、それに利用される化学物質が流出する有害な液体は、私たちの飲水や水路、帯水層を汚染しています。

フラッキングは、主に天然ガスの採取に利用されていますが、そのような環境に与える負の影響が大きいことから、更なる採取技術の発展が望まれています。


石炭採掘で発生する坑廃水は酸性で、その酸性系の液体が自然界にある小川、河川、海洋に流れ出し、水を汚染することもあります。さらに、採掘過程で悪影響を及ぼす岩や土が川に流れ出すこともあります。

過程で生まれる坑廃水は有害な物質を含むため、貯水場や井戸に貯蔵されますが、その施設が外気に接していたり、液体が誤って土壌に漏洩していたりすると、有害な物質が自然界に放出され汚染の原因になります。



化石燃料が利用される段階

化石燃料が燃焼されると、二酸化炭素やその他の熱を閉じ込める温室効果ガスが排出され、空気中や土壌、海洋に蓄積されます。

二酸化炭素、メタンなどの熱を閉じ込める温室効果ガスの他、水銀、二酸化硫黄などの有害物質も、化石燃料が燃焼されることで生み出されます。

また、一酸化炭素や窒素酸化物などの排気は、私たちが利用する車やトラック、船舶から主に排出されており、企業活動だけでなく、商品を利用する私たちもいつの間にか環境を悪化させる一員となっています。


さらに、海洋の酸性化も問題の一つです。

産業革命が起こってから、海の酸性度は約30%上昇しています。

その原因は、人間の活動によって生み出された二酸化炭素で、私たちが排出した炭素は海洋にも吸収されています。

海洋が酸性化することで海中の炭酸カルシウムが減少し、甲殻類に影響を与えます。成長スピードが遅くなり、形成される殻も脆弱なものになります。


輸送中の事故漏洩によって発生する、原油や有害ガスの自然界への流出もあります。

海洋での大規模な漏洩も真水や海洋エコシステムを汚染しますが、特に陸地で漏洩事故が発生すると、甚大な汚染被害とエコシステムの崩壊を招きます。

定期的な整備や点検がされていても、パイプラインからの流出事故は現在も起き続けており、海上で輸送される時に発生する流出事故もいまだに多いのが現状です。



主要な再生可能エネルギー

昨今、ますます注目を集めている再生可能エネルギーですが、再生可能エネルギーにはどのような種類があるのでしょうか?

大規模発電が行われているものからまだ商業化されていないものまで様々ですが、供給や研究が進んでいる再生可能エネルギーを以下で紹介しています。


再生可能エネルギーは、化石燃料以外の再生可能な自然の力を利用して生み出されるエネルギーですが、電力を生み出す源泉が自然(=再生可能)であっても、私たちが利用できる形の電気を生み出すための設備や部品の製造、電力を発生させるオペレーションで、化石燃料を利用したエネルギーが利用され、二酸化炭素が排出されています。

化石燃料と比較すると、再生可能エネルギーは気候変動に影響を与える二酸化炭素や温室効果ガスの排出は少ないですが、環境負荷の点ではライフサイクル全体で評価する必要があります。


なお、それぞれの発電方法について詳細を知りたい方は、こちらのNEDO再生可能エネルギー技術白書(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発気候)の各章をご参照ください。


地熱発電

地熱発電は、地球が持つ熱を利用して発電する方法です。

地球の内部温度は非常に高く、その熱となるエネルギー源には、地球を形成した激しい衝突から生まれた余熱、放射性崩壊、および重力によって地球の奥深くにかかっている大きな圧力が関係しています。

プレートが入り組む位置にある日本は地殻変動活動、火山活動に比較的近い場所にあるため、地熱発電を行うことができます。


地熱発電を行う際には、火山活動や熱水活動が行われている地表あたりで発電所がガス井を掘り、そこから自然に発生する蒸気をとらえます。

蒸気は地下に溜まっている岩石周辺の水が熱によって蒸発したもので、その上昇してくる蒸気の力を利用して、火力発電や原子力発電と同じ要領で発電されます。


現在は、地殻変動活動が起こっている場所でしか地熱発電を行うことができないため、実際に火山活動が行われている地下深い場所ではなく、地殻から数キロメートルの深さであれば、地球上のどこでも地熱発電が行えるような研究も行われています。


バイオマス発電

バイオマス発電は、バイオマスと呼ばれる植物由来の物質が、燃焼やガス化、液体燃料化を通じてエネルギーに変換される発電方法です。


良い点は、バイオマス発電はカーボンニュートラルと考えられていることです。

植物の生育過程で外気から吸収した二酸化炭素が燃焼されるときに排出されるため、結局のところ、吸収した二酸化炭素と排出される二酸化炭素が同じ量となり、プラマイゼロになります。

懸念点は、バイオマスとなる燃料に、重金属および合成物質などが含まれている場合、燃焼した際に有害な大気の排出を伴ってしまうことです。

バイオマスになる材料は、製材所の木屑やトウモロコシ、サトウキビなどの農産物、自治体の固形廃棄物などがあります。

例えば、固形廃棄物がきちんと分別されておらず、金属片が混ざっていた場合、それを燃焼することによって有害な大気が排出されます。よって、廃棄物を分別するテクノロジーも重要となってきます。

また、アメリカなどではバイオマス発電を行うための大規模なトウモロコシ・サトウキビ栽培が土地の劣化や二酸化炭素の排出を増長させている可能性があり、問題視されています。

このように、バイオマス発電にはトレードオフの関係があります。


バイオマスも他の再生可能エネルギー同様、エネルギーの原点は太陽にあり、植物が太陽のエネルギーを利用して光合成を行ったり植物に必要な材料に変換したりしています。

今後は、集中型で大規模発電を行う発電所のエネルギー源となる可能性もあります。


一方、発展途上国でよく見られる木材、木炭、動物の糞などの伝統的なバイオマスは、一般的に持続可能な方法で生育されていないため、それらをバイオマス発電に利用しても、望ましくない温室効果ガスや汚染物質が排出されてしまいます。

そのような途上国での現代エネルギーへのアクセスを向上させることも、一つの課題となっています。


風力発電

風力発電とは、山間や沿岸、平原などの風が強く吹く地域の気候を活かして、風力タービンを回転させ発電する方法です。

現代の風力発電の多くは、鉄塔に対して水平軸に取り付けられた風力タービンが回転するシステムになっていますが、垂直軸に取り付けられ回転する風力タービンもあります。

後者の方が効率は低いですが、比較的どのような角度からでも風を受けて回転することができ、騒音が小さいというメリットもあります。


風力発電は風力によって発電するので、上昇速度が上がるほど生み出される電力量も大きくなります。

風力をコントロールすることは不可能ですが、風力タービンの大きさを調整することで、より多くの電気をつくることができます。

風力タービンの大きさを大きくしすぎると、他のタービンに届く風を遮断することになり、空間を余分に開ける必要も出てくるので、利用できるスペースとの兼ね合いも見なければなりません。


大規模な風力発電は、民間の発電所に所有されている場合がほとんどですが、小規模の風力発電であれば個人の建物にも電力を供給することが可能です。

地方に風力発電所を設置する場合、土地の借地権を利用して貸し出す側が発電主体からの定期的な収入を受け取れるため、気候によって収入が増減する農家や広大な土地を持つ畜産農家などに風力発電のオプションを提供することもできます。


風力は、現代の再生可能エネルギーとして注目されるずっと前から、風車や船の航海にも利用された歴史があります。

さらに、風力の利用には費用が発生しない上、製造から施工まで一旦完了すると、発電の際に温室効果ガスを排出しないというプラスの効果があります。

一方で問題視されていることは、野生動物への影響です。

野鳥が移動する軌道に風力発電所を設置してしまったり、野鳥が風のなびき具合から木と勘違いして誤ってタービンに止まってしまったり、事故が多発している事実もあります。

その他、景観が損なわれ、地域住民へ騒音の被害を与えてしまうというダウンサイドもあります。

よって、現地の環境や人々の声に配慮した最適な発電所の立地が重要と考えられます。


水力発電

水力発電も風力発電同様、歴史があります。

19世紀後半の産業革命では、内部で繋がれたグリッドを通じて集中的に行われた大規模な風力発電の発展が貢献し、電力が産業革命のインパクトを大きくしました。

当時は風車や製造所の近くにある水の流れの力を利用し、水際の機械で発電が行われていましたが、ダム開発と発電機の発明により、現代では遠くの土地でも水力発電により生み出された電気を利用できるようになっています。


水力発電は、再生可能エネルギーの中でも、大きな発電量を占めています。

また、再生可能エネルギーの問題としてしばしば取り沙汰される供給の安定性についても、高低差のある2つの貯水池を利用して発電する揚水発電を利用すればコンスタントに電力を生み出すことができます。

近年では、ダムを利用する大規模な水力発電に代わって、比較的小規模でも水力発電を行うことができるマイクロ水力発電の利用も進んでいます。

小川沿いにある住居、農地、豊富な水量と安定した水流に恵まれている土地に最適です。


水力発電には、上述の通り、ダムの放流によって生まれる水流の力が利用され、火力発電の仕組みと同様にタービンが回転し、裏に設置されている発電機によって私たちが利用できる電気に変換され、提供されています。

再生可能エネルギーであることは間違いありませんが、大きな役割を担うダムが地域のエコシステムを破壊することが分かっています。

ダムの建設は魚の移動を遮り、川の温度を上昇させ、水文学的機能を狂わせるだけでなく、現地の文化や人々の居住地も奪ってしまいます。

また、下流地域に運ばれていた肥沃な泥土の流れを遮ることで、下流地域の農業は養分を補うための化学薬品を使用するようになるという負の連鎖も起きています。


また、ダム自体は温室効果ガスを排出しませんが、ダムに貯水されている水から発生している場合があります。

洪水や強い水流によって絶命した植物は分解される時、あるいはダムによってせき止められた泥土が含む多くの有機物やバクテリアがメタンを発生させます。

メタンは温室効果ガスの一つで、二酸化炭素よりもその効果が高いと考えられているため、水力発電と火力発電が与える気候変動への影響はそれほど変わらないという見解を示す研究者もいます。


太陽光(太陽熱)発電

再生可能エネルギーと聞いて、多くの人が思い浮かべるものは太陽光発電ではないでしょうか。

その名の通り、太陽の力を利用して発電する設備で、太陽を受けることができる場所であればどこでも発電は可能です。


太陽光発電にはPV(太陽電池、あるいはソーラーセル)が利用されていますが、導入には費用がかかります。

PVセルは半導体で、コンピューターのプロセッサーチップと同じような物質を利用、同じような仕組みで動作し、太陽光を直流電流であるDC電気に変換します。

一つ一つのセルは低いボルテージしか発生させることができないため、普通はセルを連続的に繋げてボルテージを高めるモジュールを形成し、そのモジュールが互いに支えあう形でソーラーパネルを形成しています。

実際に家庭の電灯や電化製品に使用できるようにするためには、パワーコンディショナーというインバーターで太陽光から得たDC電気をAC電気に変換する必要があります。


太陽光発電には、グリッド接続型とスタンドアロン型の2つのタイプがあります。

グリッド接続システムは、現地のユーティリティ会社が提供しているグリッドに接続し、自家発電で余った電力をグリッドを通じて他の世帯に供給したり、逆に自家発電でまかなえない電力をグリッドから受け取る仕組みになっています。

日中に太陽光を受けて生み出された電力はセル内に貯蓄することができないため、夜中に使用する電気はグリッドから供給されることになります。

グリッド接続システムでは、グリッドが電力を貯蔵する役割を果たしています。


一方、スタンドアロンシステムは、自家発電で生まれた電力を蓄電池(バッテリー)に貯蔵することができます。

ユーティリティ会社が提供するグリッドのない中心部から離れた地域で、太陽光から発電された電気が蓄電池に貯蔵され、電力が必要となれば、インバーターを通じて電力が供給されます。

一般的に、スタンドアロン型はグリッド接続型より複雑で蓄電池(バッテリー)が高いため、導入コストが高額になりやすいです。

ここ数年で広がりを見せている太陽光発電設備のほとんどはグリッド接続型で、導入コストを下げなければ、スタンドアロンシステムは広がらないと考えられます。

グリッド接続型でも導入コストが低い訳ではないので、政府の補助金制度等、金銭的支援策の有効利用も望まれます。


他の再生可能エネルギー同様、PVセルを製造するまでには化学物質の利用、エネルギー利用が発生しますが、太陽光発電の際には汚染物質や温室効果ガスを排出しません。


太陽を利用して発電する方法として、上記の光電を利用する方法以外に、太陽熱エネルギーを利用する方法があります。

太陽炉や太陽熱集光器を用いて太陽光を集中的に一箇所に集めて温度を高め、発生する熱を利用する方法で、火力発電同様、熱で水を蒸発させて蒸気タービン、発電機を回転させ、電気を作り出します。

この太陽熱発電は少量の水と多くの太陽光で発電できるため、砂漠気候にも適しています。太陽熱発電は、地域によって太陽光発電よりも経済的な場合があります。

また、薄暗い太陽しか出ていない時でも発電することができ、一年中太陽が頭上に近い位置に昇る北緯35度以下の緯度にある地域に、特に適しています。


太陽熱発電も、風景への影響や鳥の事故死など、環境への影響が少なからずあります。

しかしながら、様々な再生可能エネルギーの製品ライフサイクル分析を行った調査によると、太陽熱発電が他の再生可能エネルギーより二酸化炭素の総排出量が最も少ないともされています。


海洋エネルギー発電

再生可能エネルギーの中でも、海洋エネルギーを利用した発電が注目されています。

波力エネルギー、潮汐力エネルギー、海流(潮流)エネルギーの3つを利用する発電方法で、それぞれで発電の仕組み、場所、設備が異なります。


波力発電では波を利用した発電が行われます。

振動水柱型波力発電(OWC)が一般的な方法で、上下の波の動きを利用して水柱内の密閉空間で空気の圧縮、放出を繰り返し、タービンを稼働させます。

従来、海上のブイを作動させるために利用されていた方法ですが、現在では大規模な波力発電の実験が行われています。


潮汐力発電は、干潮と満潮の海面の高さの違いを利用して発電する方法です。

地球の周りを一周する月と地球の重力の関係によって、時間ごとに海面の高さに違いが生じますが、その干潮と満潮の差が大きければ大きいほど、生まれる電力も大きくなります。

潮力による高低差は地域による違いがあるため、潮力発電が行える場所は限られています。世界で一番大きい潮力発電施設は、付近に浅瀬が広がり立地に有利な韓国の始華湖潮力発電所で、合計10基の発電設備から254MWの発電が可能です。

一方、潮汐力発電には環境への負の側面もあります。河口付近に発電所が立地されると、周辺の動植物の生息地に影響を与え、川の堆積物を増加させ、タービンに入り込んだ魚が事故死してしまうなど、風力発電同様、周辺の状況と潮汐による大きな高低差が起きるポイントの両方を加味して立地場所を考えなければなりません。


潮流発電は、温度と塩分の違いによって発生する海洋大循環の海流の流れを利用して発電する方法です。

潜水型のタービンを利用して海底で海流を受け発電するシステムで、世界各地で実験が行われていますが、商業化にはまだ至っていません。

その他、海中の温度差を利用した海洋温度差発電も一部地域で実験が行われています。



エネルギーに対する企業のアプローチ

企業のエネルギー戦略は必要不可欠であることが、以下の二点から推測できます。


まず、再生可能エネルギーに対する優遇制度(各種補助金、優遇税制など)や炭素に関する規制(炭素税、カーボンプライシングなど)が企業のエネルギー転換を後押しする中、再生可能エネルギーへの転換を支援できる製品やサービスの提供は機会となり、逆に脱炭素から遅れを取れば規制や罰金の対象となるリスクがあることです。


そして、もう一点は、不安定なエネルギー価格の変動と、将来的な資源の枯渇問題から企業の事業継続可能性が左右されてしまうことです。

生活の多くを化石燃料に頼ってしまっている私たちのライフスタイルですが、それらの製品を提供する企業も化石燃料に頼った事業を営んでいることになり、化石燃料の供給が不安定化し、価格が上下するだけで大きな影響を受けます。


よって、現在、多くの企業でエネルギー戦略およびエネルギープログラムを策定し、様々な手法で実行・改善を行っています。

実行段階では、会社内の多くの部署、関係者、上層部を巻き込む必要があり、特にトップ層の積極的な参加とエネルギーの優先順位度の向上、そして支援と監督を行うガバナンス体制の構築が最低限必要になります。

近年は、エネルギーマネージャーというポジションを用意し、エネルギーに特化した人材配置を行う企業もあります。


エネルギー戦略の一つとして、エネルギー測定、マネジメントのためのツール提供をサプライヤーに行うこともあります。

特に、バリューチェーンが世界に広がるグローバル企業は、エネルギーマネジメントを行う際に、まず正確に利用するエネルギーの量を計測する必要があるからです。

サプライヤーが適した技術やツールを保有していない場合、プログラムやツールの提供を通じて支援します。


以下では、企業がエネルギーに対してアプローチを行う具体的な方法の一例として3つの内容をご紹介します。


効率化

エネルギーだけではありませんが、企業がまず初めに比較的小さいコストで取り組める方法として、資源の利用効率を高めることがあります。

ですが、具体的にどれほどのエネルギーを利用しているかと聞かれて、正確に答えることができる企業は意外に少ないです。自分たちが利用しているエネルギー量がわからなければ、具体的な改善策や重点的に取り組まなければならない領域や場所が分かりませんから、まずはエネルギーの利用量を正確に計測することから始めます。

工場など計測装置が導入されている場所であれば、すでに計測されているデータを使うことで、オフィスなどで利用されているエネルギーであれば、ユーティリティの請求書などを再確認することで、利用量が把握できる場合もあります。

いずれにせよ、エネルギー戦略を立てる上で現状を把握することは欠かせません。


測定が完了し、実際に利用している正確なエネルギー量が確認できれば、次にゴール設定および具体的な改善策の提案を行います。

改善策には日頃から省電力を心がけるような呼びかけやキャンペーンの実施、温度自動調整器の取り付け方法のチェック、空気・蒸気・水漏れの定期点検などの基本的なものから、白熱灯からLED照明への交換、日中の照明の利用制限を自動で行うタイマーやセンサーの設置などの応用的なものもあります。


リソースの観点から改善策を検討することも重要ですが、具体的なエネルギー目標を掲げ、それを達成するための方法を模索するバックキャスティングが理想的な形です。

市場環境、企業のエネルギーに関する重要度、社会的に求められている水準を考慮し、期限と数値目標を掲げることで、企業としてのコミットメントを高め、達成するための戦略を立てることができます。

さらに、近年では、科学的根拠に基づいた目標を掲げることが推奨されています。


具体的なゴール、戦略が決まれば、その後は進捗を測るためのエネルギー監査やコミッショニング(想定のエネルギー効率でシステムが機能しているかを点検する方法)などを計画に組み込みます。

企業のオペレーション周りのエネルギー効率だけでなく、顧客が利用する製品やサービスを通じた、エネルギー効率および二酸化炭素排出量の改善支援ができれば、先進的な取り組みに近づいていくでしょう。

また、事業を通じたエネルギー効率への取り組みは、製品・サービスの差別化や環境に配慮する顧客のロイヤルティを獲得することにも繋がると考えられます。


エネルギー源の転換

エネルギーの利用効率を高めることは費用の削減につながりますが、エネルギー源は化石燃料のままですから、事業リスクは依然として高いままです。

そこで、エネルギー源のポートフォリオを多様化させ、リスクを分散します。


新たなエネルギー源として考えられるのが、上記でご紹介した再生可能エネルギーです。

企業の中には再生可能エネルギーの導入が進んでいるところもありますが、全体に占める再生可能エネルギーの比率やエネルギーへの投資をさらに高めていくことが可能です。

どのような状況や経済環境のおいても、エネルギー源をどれかに絞ることはリスクを高めるため、Energy mix(エネルギーミックス)の状態に近づけていくことが良いと考えられます。

あるエネルギー源で発電が不可能になった時のリスクヘッジに繋がります。


また、再生可能エネルギーの財務的な側面として、エネルギー価格のボラティリティに備える必要があります。

10〜20年単位で契約を結ぶPPA(Power Purchase Agreement)という契約方式が再生可能エネルギーの調達方法として世界で利用されており、上手にリスクヘッジを行うことで、再生可能エネルギーの長期的な調達を確保できます。

制度改正が進む日本でも、今後はPPAの契約方式が増えていくのではないでしょうか。


資源の有効活用

あらゆる工業プロセスから生まれる廃熱を再利用してエネルギーを得ることもできます。

発電所で作られるエネルギーの一部は廃熱として処理されるのでその廃熱を利用したり、その他、化石燃料の燃焼、化学工場や石油精製所などから生まれる廃熱、ガスを利用したりすることで、電気エネルギーと熱エネルギーを生み出します。

この方法は、コジェネレーション(Cogeneration、もしくはCombined heat and power)と呼ばれ、温室効果ガスやエネルギーコストの削減を期待できます。

全体のエネルギー効率が改善され、大気に排出される温室効果ガスの量が、化石燃料の燃焼や製鉄加工の過程で生まれた初期の温室効果ガス以外に発生することはありません。


また、工業生産を行わない熱を生み出す施設でもコジェネレーションを行うことが可能です。オフィスビル、大学キャンパス、病院、ホテル、賃貸アパートなどの施設にマイクロタービンを設置することで、電気を生み出し、生まれた廃熱から水や建物を加温する熱を生み出すことができます。


廃棄物から発生するメタンを利用する方法もあります。

嫌気性消化というプロセスでは、嫌気性のバクテリアが酸素が存在しない空間の中で性分解性物質を有機物に分解し、メタンを放出します。

天然ガスはメタンなので、天然ガスと同じ要領でメタンからエネルギー生産を行うことができます。

この方法はメタンが多く放出されるゴミの埋立地や集積所、下水処理施設、畜産農業の施設で多く利用されています。


本来は捨てられるものを自社内で再利用する他にも、ビルや工場に太陽光発電などの発電設備を導入し、自社での発電・消費を行うことも考えられます。地域の売電事業者と契約を結べば、余った電力を売電することも可能です。



まとめ

再生可能エネルギーは投資先としても注目を集めています。

再生可能エネルギーは、発電の大規模化や貯蔵技術の発展に支えられて今後も拡大し、世界で利用される電気に占める再生可能エネルギーの割合も徐々に増えていくことが予想されます。


企業のエネルギー戦略は見方を変えると、エネルギーの不可避的な未来に対する生き残り戦略ともいえます。

それほどエネルギー変革への迅速な対応が求められています。

エネルギーに対する関心が低い企業も、今一度、見直す必要があるかもしれません。

さらに、カーボンプライシングの動きが本格化することで、将来的には、化石燃料より再生可能エネルギーを利用する方が経済的になる可能性もあります。


エネルギー変換を増進させる公的支援と、企業からの積極的なエンゲージメントを組み合わせ、投資家、政府、消費者、従業員など多くのステークホルダーを巻き込んだ戦略の策定、実行を行うことが最終的なゴールです。

上記の通り、エネルギーに対する投資規模もますます大きくなることが期待されます。

今後も、グリーンエネルギーに関する最新の動向から目を離せません。

キャスレーホールディングス株式会社

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